驟雨図

Sudden Shower
驟雨圖
骤雨图
취우도

高橋由一

TAKAHASHI, Yuichi
高橋 由一
高桥 由一
다카하시 유이치

1877(明治10)年頃
カンヴァス(板貼)、油彩
45.5×76.2cm


日本近代洋画の開拓者による自然現象の描写への挑戦

A challenge to depict natural phenomena undertaken by a pioneer of modern Japanese Western-style painting.
日本近代西洋畫的開拓者對於自然現象描描繪的挑戰作品
日本近代西洋画的开拓者对于自然现象描绘的挑战作品
일본 근대 서양화의 개척자에 의한 자연현상의 묘사에 도전


高橋由一は下野国佐野藩士の子として江戸に生まれた。若くして西洋の絵画技法に関心を抱いて研究を開始、とりわけ油彩画の技法を確立することに努めた。その業績により「日本近代洋画の祖」として高く評価され、代表作《鮭》や《花魁》(共に東京藝術大学蔵)は重要文化財に指定されている。

驟雨図 しゅううず 》は、由一がイタリア人画家アントニオ・フォンタネージに出合い、その影響のもと空気遠近法による表現を始めた1877年頃の制作とされる。画面の中央を雲が覆い、川面に落ちる激しい雨脚が描かれている。一方、左上の青空と右下の夕焼けの対比が鮮やかである。描かれた場所は特定されていないが、激しい雨の去った後で屋形船を出そうとしている船頭の姿が見られることから、隅田川河畔と考えられている。

由一はその後、当時の栃木県令三島通庸みしまみちつねの委嘱を受けて栃木・福島・山形三県の道路建設を記録するなど、多くの風景画を残している。また「展画閣」と称する美術館設立の構想も抱いていたが、実現することはなかった。