夜叉門

Yasha-mon
夜叉門
夜叉门
야샤몬

川島理一郎

KAWASHIMA, Riichiro
川島 理一郎
川岛 理一郎
가와시마 리이치로

1936(昭和11)年
カンヴァス、油彩
65×91.5cm


夏の日光を舞台に繰り広げられる光と色彩のドラマ

A drama of light and colors unfolded in Nikko in the summer.
將夏日的日光描繪成了流光溢彩的舞台
将夏日的日光描绘成了流光溢彩的舞台
여름의 닛코를 무대로 펼쳐지는 빛과 색채의 드라마


日光の家光廟大猷院たいゆういんの夜叉門である。中ほどの地面が強い陽ざしに白く輝いている。画家は門のこちら側の日陰にイーゼルを構えているのだろう。こちら側にも照り返しの光が入ってきて門に塗られた金地を鈍く光らせている。二人の女性がこちらに向かってくる。一人は青色の和装、もう一人はバラ色の洋装のようだ。二人の女性と画家の間に強い陽光が落ち、陰影と、朱色や金色の強い色彩が広がる。筆の走るままに気持よく描いたかのように見える作品であるが、夏の一日の光と色彩のドラマが見事にとらえられている。いくつもの門や扉を活かした空間構成も周到に計算されたものだ。

1935年、帝展改組に伴う画壇の動揺の中で国画会を退会した川島は、翌年の初夏から秋にかけて日光にこもり制作に没頭した。その折の作品である。