企画展
「二つの栃木」の架け橋
小口一郎展 足尾鉱毒事件を描く
KOGUCHI Ichiro : A Retrospective

上:《「鉱毒に追われて」より 35. 帰郷》( 部分)1971-73年 紙、木版 小口一郎研究会蔵
下:《「鉱毒に追われて」より 1. 治水か破水か》(部分)1971-73年 紙、木版 小口一郎研究会蔵
開催期間 | 2023年1月21日[土]-3月26日[日] |
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栃木県小山市出身で版画家として活躍した小口一郎(こぐち・いちろう、1914-1979)の全貌を、そのライフワークとなった足尾鉱毒事件を主題とした作品を中心に紹介します。
幼少期より絵画に秀でた才能を示した小口一郎は、1946年に鈴木賢二らが結成した日本美術会の北関東支部の活動に参加し、本格的に木版画を手がけるようになると同時に、仲間たちとともに、絵画教室での指導やサークル活動に熱心に取り組んでいきました。その一方で、やがて足尾鉱毒事件と田中正造のことを知って大きな衝撃を受け、広く世に伝える方法を模索し始めます。まずは、足尾銅山の鉱毒被害に苦悩する旧谷中村の農民たちと田中正造のこと、次に、厳寒の佐呂間へ移住した人々の生活と帰郷への思い、そして最後に、足尾銅山の坑夫たちの労働問題を取り上げ、それぞれ連作版画《野に叫ぶ人々》(1969年)、《鉱毒に追われて》(1974年)、《盤圧に耐えて》(1976年)の3 部作にまとめ上げました。これらは小口一郎の代表作として、今なお、高い評価を得ています。
《鉱毒に追われて》に描かれたように、明治期、鉱毒被害に遭った旧谷中村や渡良瀬川流域の農民たちは、北海道開拓移民として佐呂間の原野にわたり、「栃木集落」を形成しました。その後、歳月を経て、彼らが栃木県への帰郷を果たしたのは、1972年のことです。このとき、小口一郎が自ら帰郷運動の世話役を務め、当時の栃木県知事が受け入れを表明したことで、ようやく実現にいたりました。すなわち、2022年は、栃木県立美術館の開館50周年であると同時に、「もう一つの栃木」から帰郷して50年の節目の年にあたります。
開館50周年を記念して企画される本展は、小口一郎研究会の全面的な協力を得て、初めて連作版画《野に叫ぶ人々》、《鉱毒に追われて》、《盤圧に耐えて》の全点を一堂に展観するものです。あわせて油彩画や版画作品なども紹介し、約300点で知られざる美術家、小口一郎の生涯を回顧します。
幼少期より絵画に秀でた才能を示した小口一郎は、1946年に鈴木賢二らが結成した日本美術会の北関東支部の活動に参加し、本格的に木版画を手がけるようになると同時に、仲間たちとともに、絵画教室での指導やサークル活動に熱心に取り組んでいきました。その一方で、やがて足尾鉱毒事件と田中正造のことを知って大きな衝撃を受け、広く世に伝える方法を模索し始めます。まずは、足尾銅山の鉱毒被害に苦悩する旧谷中村の農民たちと田中正造のこと、次に、厳寒の佐呂間へ移住した人々の生活と帰郷への思い、そして最後に、足尾銅山の坑夫たちの労働問題を取り上げ、それぞれ連作版画《野に叫ぶ人々》(1969年)、《鉱毒に追われて》(1974年)、《盤圧に耐えて》(1976年)の3 部作にまとめ上げました。これらは小口一郎の代表作として、今なお、高い評価を得ています。
《鉱毒に追われて》に描かれたように、明治期、鉱毒被害に遭った旧谷中村や渡良瀬川流域の農民たちは、北海道開拓移民として佐呂間の原野にわたり、「栃木集落」を形成しました。その後、歳月を経て、彼らが栃木県への帰郷を果たしたのは、1972年のことです。このとき、小口一郎が自ら帰郷運動の世話役を務め、当時の栃木県知事が受け入れを表明したことで、ようやく実現にいたりました。すなわち、2022年は、栃木県立美術館の開館50周年であると同時に、「もう一つの栃木」から帰郷して50年の節目の年にあたります。
開館50周年を記念して企画される本展は、小口一郎研究会の全面的な協力を得て、初めて連作版画《野に叫ぶ人々》、《鉱毒に追われて》、《盤圧に耐えて》の全点を一堂に展観するものです。あわせて油彩画や版画作品なども紹介し、約300点で知られざる美術家、小口一郎の生涯を回顧します。
開催場所: | 企画展示室 |
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観覧時間: | 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで) |
休館日: | 月曜日 |
観覧料: | 一般 900(800)円、大高生 600(500)円、中学生以下無料 *( )内は20名以上の団体料金 |
主催: | 栃木県立美術館、下野新聞社 |
協力: | 小口一郎研究会 |
特別後援: | 佐呂間町、佐呂間町教育委員会 |
後援: | 朝日新聞宇都宮総局、宇都宮コミュニティFM ミヤラジ、NHK 宇都宮放送局、エフエム栃木、産経新聞社宇都宮支局、東京新聞宇都宮支局、とちぎテレビ、栃木放送、日本経済新聞社宇都宮支局、毎日新聞社宇都宮支局、読売新聞宇都宮支局 |
[関連イベント]
※各イベントには、当日の企画展観覧券が必要です。予約不要。
講演会「足尾銅山鉱毒事件と田中正造―小口一郎「三部作展」に寄せて―」(事前予約不要)
講師: | 安在邦夫氏(早稲田大学名誉教授) |
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日時: | 2023年2月26日[日] 午後2時~ |
会場: | 栃木県立美術館 集会室 |
定員: | 80名 |
上映会+解説
小口一郎の連作版画による映画を上映後、各回とも、赤上剛氏(田中正造・足尾銅山鉱毒事件研究者)が解説(30分程度)
1. 映画「足尾鉱毒事件 野に叫ぶ人々」(事前予約不要)
日時: | 2023年1月22日[日] 午後2時~ |
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会場: | 栃木県立美術館 集会室 |
備考: | 1971年制作、脚本・演出:篠崎隆、上映時間:約28分 |
定員: | 80名 |
2. 映画「木版画で描く足尾鉱毒事件 鉱毒に追われて」(事前予約不要)
日時: | 2023年2月5日[日] 午後2時~ |
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会場: | 栃木県立美術館 集会室 |
備考: | 2013年制作、脚本・撮影構成:篠崎隆、上映時間:約45分 |
定員: | 80名 |
3. 映画「版画で描く足尾鉱毒事件 盤圧に耐えて」(事前予約不要)
日時: | 2023年2月12日[日] 午後2時~ |
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会場: | 栃木県立美術館 集会室 |
備考: | 2015年制作、構成・演出・撮影:篠崎隆、上映時間:約48分 |
定員: | 80名 |
ギャラリートーク:小口一郎研究会代表の篠崎清次氏による作品解説(事前予約不要)
日時: | 2023年1月21日[土] 午後3時30分~ |
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会場: | 栃木県立美術館 企画展示室 |
ギャラリートーク:担当学芸員による作品解説(事前予約不要)
日時: | 2023年2月18日[土]、3月4日[土] 各回とも午後2時~ |
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会場: | 栃木県立美術館 企画展示室 |
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小口一郎 《「鉱毒に追われて」より 38.鋼鉄の爪跡》 1971-73年 紙、木版 小口一郎研究会蔵 |
小口一郎 《「盤圧に耐えて」より 4.足尾銅山》 1974-75年 紙、木版 小口一郎研究会蔵 |
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小口一郎 《自画像》 1968年 カンヴァス、油彩 小口一郎研究会蔵 |
小口一郎 《坂道》 1954年 紙、木版多色刷 栃木県立美術館蔵 |
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小口一郎 《ねこ》 1954年 紙、木版 小口一郎研究会蔵 |
小口一郎 《海の声》 1976年 カンヴァス、油彩 小口一郎研究会蔵 |
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小口一郎 《「鉱毒に追われて」より 1.治水か破水か》 1971-73年 紙、木版 小口一郎研究会蔵 |
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小口一郎 《「野に叫ぶ人々」より 川俣事件(その二)》 1955年 紙、木版 栃木県立美術館蔵 |
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