企画展

国吉康雄と清水登之
ふたつの道

開催期間 2018年4月28日[土]- 6月17日[日]

国吉康雄(くによし やすお, 1889-1953)と清水登之(しみず とし, 1887-1945)は、若くしてアメリカに渡り、働きながら美術を学びました。二人はともに1910年代から20年代初めのニューヨークで画家としての自己を確立し、国吉は日本画や古いアメリカ絵画の技法を取り入れた作品で、また清水は哀歓あふれる庶民の暮らしを描く作品で高く評価されました。1920年代のパリもそれぞれに体験し、彼らの画業はさらに充実しました。清水の日本帰国後も二人の友情は続き、清水は国吉の成功をたたえる文章を雑誌に寄稿しています。

ところが彼らは後半生において大きく異なる道を歩むことになりました。国吉は日米開戦後もニューヨークの画壇や母校アート・スチューデンツ・リーグでの立場からアメリカに残り、清水との共通の友人でもある石垣栄太郎・綾子夫妻とともに日本の軍国主義に対抗する活動を行いました。一方、1927(昭和2)年に帰国した清水は早くから戦争を主題とする作品に取り組み、中国や東南アジアの戦場に従軍したのです。清水はその名も誕生の地、紐育(ニューヨーク)に由来する愛息育夫をアメリカとの戦争で喪い、深い悲しみの中で1945(昭和20)年12月、疎開先の栃木の生家で没しました。

明治末、青雲の志を抱いて渡米し、1910年代から20年代のニューヨークで深い親交を持ちながらも、戦争によって異なる道を歩まざるを得なかった二人の日本人画家。本展では20世紀前半の日本とアメリカに生きた彼らの生涯と作品を、福武コレクションと岡山大学国吉康雄研究講座の協力を得て対比します。また彼らと共にニューヨークで活動した日本人画家(石垣栄太郎、古田土雅堂、清水清)や、アート・スチューデンツ・リーグでの彼らの師(ジョン・スローン、ジョージ・ベローズ)らの作品もあわせて展示します。

開催場所: 企画展示室
観覧時間: 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
5月19日(土)は午後7時まで開館(入館は午後6時30分まで)
休館日: 月曜日(4月30日は開館)、5月1日(火)
観覧料: 一般 800(700)円、大高生 500(400)円、中学生以下無料
*企画展観覧券でコレクション展もご覧いただけます。
*( )内は20名以上の団体料金
*6月9日(土)、10日(日)、15日(金)は県民の日関連で無料
主 催: 栃木県立美術館
共 催: 公益財団法人 福武財団
企画協力: 国立大学法人岡山大学大学院教育学研究科 国吉康雄記念・美術教育研究と地域創生講座
後 援: 朝日新聞宇都宮総局、NHK宇都宮放送局、エフエム栃木、産経新聞社宇都宮支局、下野新聞社、東京新聞宇都宮支局、とちぎテレビ、栃木放送、日本経済新聞社宇都宮支局、毎日新聞社宇都宮支局、読売新聞宇都宮支局
国吉康雄
《鶏小屋》
1921年
福武コレクション蔵
国吉康雄
《逆さのテーブルとマスク》
1940年
福武コレクション蔵
国吉康雄
《少女よお前の命のために走れ》
1946年
福武コレクション蔵
国吉康雄
《ミスターエース》
1952年
福武コレクション蔵
清水登之
《ヨコハマ・ナイト》
1921年
和歌山県立近代美術館蔵
清水登之
《兵隊と僧侶(トレド郊外)》
1925年
栃木県立美術館蔵
清水登之
《難民群》
1941年
栃木県立美術館蔵
清水登之
《育夫像》
1945年
大川美術館蔵
石垣栄太郎
《ボーナス・マーチ》
1932年
和歌山県立近代美術館蔵
古田土雅堂
《地下鉄の雑踏》
1923年
栃木県立美術館蔵

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