企画展
2Dプリンターズ
芸術:世界の承認をめぐる闘争について

福田美蘭《ルノワール“日なたの裸婦”》1996年 賛美小舎 上田コレクション
開催期間 | 2017年7月15日[土]- 2017年9月18日[月・祝] |
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当館ではダーウィニズムを美術に応用した「画像進化論」展(2011年)、熱力学と色彩論の親和性を考察した「マンハッタンの太陽」展(2013年)など科学理論との対比から社会における美術の位置を再考する展覧会を開催してきました。
さて、21世紀の今日、最新技術である3Dプリンターが社会の注目を集めています。その理由は、その技術が医療などの人間の生命維持や社会システムそのものに直接的に役立つからです。すなわち3Dプリンターは一般的な意味での「有用性」をもっているのです。
その一方で「プリンター」という言葉は社会や会社で日常的に使用される印刷機やコピー機などを連想させると同時に、美術においては版画や写真などのいわゆるプリント芸術や複製芸術をも連想させます。さらに芸術作品は一般には自律的であり、一般的な意味での「有用性のないもの」と古典的美学はとらえてきました。
このような状況のもと、直接的社会有用性をもった3Dプリンターの出現によって芸術の有用性が再び問われています。芸術はあいかわらず有用性をもたない浮世離れした無用の長物なのか、あるいは芸術ならではの特殊な有用性を世界に向けて発揮するものなのか。
以上の前提から第三弾となる今回はあらためて美術の有用性に着目します。無用の長物(遊戯)と思われていた科学は技術と手を結んで社会での認知を獲得したのに対して、科学が範とした従来の有用性を捨て去ったことがこれまで美術の価値すなわち逆説的な有用性と考えられてきたようです。
21世紀の今日もなおこのような自律的価値が有用なのか、あるいは批評性をもった社会的価値こそが有用なのかを、写真、版画、映像、印刷物などの複製技術と絵画、ドローイング、彫刻など約200点における手わざとを比較展観しながら、美術の面白さと恐ろしさとともに考察します。
開催場所: | 企画展示室 |
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観覧時間: | 午前9時30分から午後5時まで(入館は午後4時30分まで) |
休館日: | 月曜日(ただし7月18日と9月18日は開館)、7月19日(火) |
観覧料: | 一般 800(700)円、大高生 500(400)円、中学生以下無料 *( )内は20名以上の団体料金 |
主 催: | 栃木県立美術館 |
助 成: | 芸術文化振興基金![]() |
後 援: | 朝日新聞宇都宮総局、NHK宇都宮放送局、エフエム栃木、産経新聞社宇都宮支社、下野新聞社、東京新聞宇都宮支局、とちぎテレビ、栃木放送、日本経済新聞社宇都宮支局、毎日新聞社宇都宮支局、読売新聞宇都宮支局 |
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福田美蘭 《ルノワール“日なたの裸婦”》 1996年 油彩、板、額縁 35×29cm(5点組) 賛美小舎 上田コレクション |
村上華子 《世界の終わりは来なかった》 2014年 紙に木版印刷 70×50cm 協力:El Relanpago 木版印刷所 個人蔵 |
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折元立身 《[メールアート]performance I make up and become ART-MAMA [TOKYO]》 2016年 紙、オフセット 99.5×70cm 個人蔵 |
三島喜美代 《COPY-NEWS PAPER-F》 1980年 陶、シルクスクリーン 36×26×10cm |
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橋本聡 《Fw: The Successive Presidents of The United State》 2014年 紙、オフセット 51.5×72.5cm 個人蔵 |
郭徳俊 《レーガンと郭》 1981年 紙、シルクスクリーン 53×36.8cm |
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一原有徳 《ZON 1004》 1981年 モノタイプ 100×200cm |
オノレ・ドーミエ 《代議士図鑑(31)ラグランジュ(『シャリヴァリ』より)》 1849年 紙、リトグラフ 27×19.4cm |