企画展

ヒュー・スコット=ダグラス 展

開催期間 2016年4月16日[土]- 2016年6月19日[日]

本展でスコット=ダグラスは異なる三つのシリーズを織り交ぜ、C-プリント作品[クロモジェニック・プリント]、プロジェクション作品、紙製のエアバッグ[ダネージバッグ]による立体作品にそれぞれ「ブーケ」の再現的かつ象徴的意味を含ませることによって花束の形状と性質に言及しています。本展の文脈において「ブーケ」は我々の社会経済のネットワークを制御する複雑な構造を象徴するものとして機能します。個々の花はそれぞれが根から茎へと繋がる線形モデルとして存在しますが、それが寄せ集められると、ばらばらの存在要素が統合され、部分が全体を形成することで新たな形状が生じます。スコット=ダグラスは、地上に縛られた存在から集合体としての存在へと変容するこの[リゾーム的]状況を利用することで、言語の約束事と制御の概念によって支えられている様々なグローバル化した生産ネットワークについて示唆しています。

栃木県立美術館のロビー[展示室に変更]に入ると、ブーケの形状にアレンジされた大型の構造体が私たちを出迎えます。輸送中の物品が動いたりずれたりするのを抑制するための梱包材としてよく機能する紙製のエアバッグ[ダネージバッグ]からなるこれらの立体作品が何もない空間を満たします。これら白い「ブーケ」が、この比較的重要でない共用スペース[展示室に変更]を変容させ、この「非空間」に充満する空洞を満たすのです。更に歩行の道筋や空間の性質を制御することで、アーティストは交通を抽象的C-プリント[クロモジェニック・プリント]のシリーズへと誘導します。

12点からなるこの写真シリーズにおいては、写真撮影に使われる標準的な照明パネルがモチーフとなりますが、それらは歪ませられ、再定義されます。写真撮影時の周辺環境を制御するのに使われるこの装置は、その機能の通り、それぞれの構図に非常にはっきりとした空間的論理を割り当てます。形状的には明白でありながらも認識の上では曖昧な美学を達成するために、スコット=ダグラスは画像の特定部分をぼやけさせる写真の技法である「ボケ」の効果を利用しています。このぼんやりした美学はピントの暈けた部分に焦点を合わせることによって達成されます。結果として[カメラという]機械に読み込まれ、加工される過程において前景と後景とが崩壊するのです。[ボケが示唆する]分散化された生産システムを取り巻く言語の必要性を認識するならば、[この作品シリーズの]生産を可能にすると同時に作品名としても機能する言語を活用することによって、誰にでも理解できる軽妙な言葉遊びが言語と[ボケとブーケという]それぞれのパターンを生み出すために使われているものとの循環的関係を際立たせるのです。

開催場所: 企画展示室
観覧時間: 午前9時30分から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休館日: 月曜日
観覧料: 一般 800(700)円、大高生 500(400)円、中学生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金 
* 6月11日(土)、12日(日)、15日(水)[栃木県民の日]は入場無料
主 催: 栃木県立美術館
特別協力: Kaikai Kiki Co., Ltd.
協 力: Blum & Poe, Casey Kaplan, Croy Nielsen, Jessica Silverman Gallery, Kaikai Kiki Gallery, Simon Lee Gallery
後 援: 朝日新聞宇都宮総局、エフエム栃木、産経新聞社宇都宮支局、下野新聞社、東京新聞宇都宮支局、とちぎテレビ、栃木放送、日本経済新聞社宇都宮支局、毎日新聞社宇都宮支局、読売新聞宇都宮支局
《アクティブ・サープラス》
2012/13
35mm スライド・プロジェクター
《ボケ》
2016
アルミニウムにマウントしたクロモジェニック・プリント
1,219×1,524mm
Photo:Jeff Elstone

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