企画展
〈特別展示〉 高橋由一

《驟雨図》 1877年頃 栃木県立美術館
開催期間 | 2012年10月27日(土)― 2012年12月24日(月・祝) |
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高橋由一(たかはし ゆいち, 1828-1894)はの佐野藩士の子として江戸の佐野藩邸に生まれました。体が弱かったため家業である武道指南を断念、絵の上手だった由一は刀を絵筆に持ち替えて絵画修業に打ち込みます。当時珍しかった西洋の石版画を目にした由一はその迫真の描写に感激し、なんとしても西洋画を学ぼうと努力しました。
由一にとっての西洋画は、たんなる好奇心の対象や自己表現の場ではありませんでした。対象を正確に描写し、耐久性にもすぐれた西洋画は、当時大きく変化しようとしていた日本という国家にとって有益なもの。そう考えた由一は、西洋画の技術の定着と普及を国家のための事業と考え、生涯を捧げました。もし高橋由一がいなければ、今日の日本の美術は私たちが見ているものとはまったく違ったものになっていたかもしれません。
昨年度、栃木県立美術館では高橋由一の油彩画《驟雨図》を基金取得しました。由一がイタリア人画家アントニオ・フォンタネージの影響を受け、油彩画の表現に一層の深みを加えた1877(明治10)年頃の制作と考えられる作品です。
今回の特別展示では、新収蔵された《驟雨図》に加え、同時期の油彩画《中州月夜の図》、山形、栃木の県令を歴任した三島通庸の道路建設事業との関わりから制作された《栗子山隧道図(西洞門・小)》、《鑿道八景》、《東北新道石版画》などを展示します。また由一が師事したイギリス人画家チャールズ・ワーグマンの作品をあわせて展示します。
観覧料: | 同時開催の企画展「ゆく河の流れ‐美術と旅と物語‐」の観覧券が必要です。 |
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主 催: | 栃木県立美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会 |
特別協力: | 全国美術館会議(東日本大震災復興対策事業) |
協 賛: | ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン、東武宇都宮百貨店 |
後 援: | 朝日新聞宇都宮総局、NHK宇都宮放送局、エフエム栃木、産経新聞社宇都宮支局、下野新聞社、とちぎテレビ、栃木放送、日本経済新聞社宇都宮支局、毎日新聞社宇都宮支局 |
平成24年度 文化庁 地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ
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《中州月夜の図》 1878年頃 宇都宮美術館 |
《栗子山隧道図(西洞門・小)》 那須野が原博物館 |
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《鑿道八景》より《下野塩谷郡男鹿川独橋有三架》 那須野が原博物館 |
《鑿道八景》より《下野那須郡三島村平野放牛》 那須野が原博物館 |
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《東北新道石版画》より《栃木県庁ノ図》 栃木県立美術館 |
チャールズ・ワーグマン 《海岸風景》 栃木県立美術館 |