企画展 [躍動する魂のきらめき]

躍動する魂のきらめき
―日本の表現主義―

企画展 [躍動する魂のきらめき]

萬鉄五郎 《風船をもつ女》 1912年 岩手県立美術館蔵

開催期間 2009年4月26日(日)― 2009年6月15日(月・県民の日)

20世紀初頭にカンディンスキーやマルクら若い芸術家たちによって始まったドイツ表現主義の運動は、やがて遠く日本においても「表現派」として紹介され、ときには交流もし、少なからぬ影響を与えました。同時代の雑誌に彼ら表現主義の芸術家たちの挿図が数多く掲載されたり、築地小劇場がドイツ表現主義の戯曲の翻訳劇を上演したりするなど、いくつも例を挙げることができます。
  しかしそれは、受容する日本の側にドイツ表現主義に共感する何かがすでに備わっていたからにほかなりません。その重要な要素として、岸田劉生ら大正時代の生命主義を挙げることができましょう。柳宗悦ら『白樺』に集った人々の神秘的なものへの傾斜など、生命主義的な傾向は日本のその後の芸術表現にとっても重要な意味をもちました。
  日本における表現主義の受容としては、最も顕著な恩地孝四郎らの版画、さらに洋画や建築の分野を挙げることができます。しかし、それだけにとどまりません。その躍動するような魂の表現は、日本画においても出現しました。たとえば南画では主観性に着目する傾向を強め、新南画の隆盛へとつながるなど、領域を問わずに多彩な広がりを見せました。
  そして後には生活の領域にまで幅広く流行していき、1930年代頃の街は「表現派」が溢れることになったのです。
  本展では、日本の近代以降、生命主義につながる芸術表現を発端として、ドイツ表現主義とその影響、そしてそれが生活領域に広がるまでを、洋画、版画、日本画、彫刻、工芸、建築、写真、舞台美術、映画資料などさまざまな分野の約350点で紹介します。

 会期中、展示作品の一部展示替えを行います。

栃木県立美術館における展示作品、展示替え予定 (PDF: 392KB)
栃木県立美術館以外での出品作品 (PDF: 208KB)

 

章構成と主な出品作家

1.予兆
黒田清輝、藤島武二、石井柏亭、後藤慶二ほか
2.表現I 生命主義
岸田劉生、村山槐多、関根正二、萬鉄五郎、東郷青児、岡本神草、長谷川潔、田中恭吉、濱田庄司、B・リーチほか
3.表現II 影響と呼応
村山知義、神原泰、柳瀬正夢、恩地孝四郎、尾竹竹坡、小川芋銭、川喜田煉七郎、斎藤佳三、山脇洋二、森谷延雄、滝沢眞弓、田村榮ほか
4.表現III 生活
高村豊周、河井寛次郎、今和次郎、吉田謙吉ほか

主 催: 栃木県立美術館、美術館連絡協議会、読売新聞東京本社
協 賛: ライオン、清水建設、大日本印刷
関根正二 《神の祈り》
1918年頃
福島県立美術館蔵
岸田劉生 《静物(湯呑と茶碗と林檎三つ)》
1917年
大阪市立近代美術館建設準備室蔵
萬鉄五郎 《雲のある自画像》
1912年
岩手県立美術館蔵
神原泰 《スクリアビンの「エクスタシーの詩」に題す》 
1922年
東京国立近代美術館蔵
濱田庄司 《ガレナ釉彫絵蓋壺》
1922-23年頃
益子参考館蔵
田中恭吉 《「去勢者と緋罌粟」公刊「月映」IIIより》
1914年
須坂版画美術館