企画展 [小泉斐と高田敬輔]

小泉斐と高田敬輔
-江戸絵画にみる画人たちのネットワーク-

企画展 [小泉斐と高田敬輔]

小泉 斐 《鮎図》 個人蔵

開催期間 2005年2月20日(日)― 2005年3月27日(日)

 近江日野出身の高田敬輔(1674-1755)については、早く中林竹洞の『竹洞画論』において奇想の画人曾我蕭白と並び称され、時には蕭白の師とも云われてきた。敬輔は、京狩野の山楽・山雪・永納に継ぐ永敬のもとに学び、幕府のある江戸にも進出して中央絵師として名を上げる。その一方で郷土日野の後進育成にも力を注ぎ、弟子の中には島崎氏などの日野商人も含まれていた。その島崎氏の元祖七左衛門の二男利兵衛(1654-1726)は商域を関東にも広げて下野茂木の地に出店し、後には 近隣にも支店を出すほどになった。三代目にあたる利兵衛(1731-1805)は若年時に、日野との往来の中で晩年の敬輔に師事している。雲圃と号し、生涯にわたって家業の傍ら絵画制作を続け、当地の文化向上に大いに貢献するが、晩年期の雲圃から写実的な鮎画を学んだのが小泉斐(1765-1854)である。下野益子出身の斐は、鮎画でその名を知られるが、実に多才な画人であり、その魅力はむしろ鮎画以外にあるといってもよいほどである。神仙を中心とした故事人物画や円 山応挙風の美人画、中国明清絵画の影響を受けた山水画や持ち前のフットワークのよさを反映した真景表現など、斐の画事の幅は極めて広く、またそれぞれにお いて個性的である。

 本展覧会は、栃木県立美術館と滋賀県立近代美術館の共同研究により、京狩野から敬輔、そして敬輔から雲圃・斐へと続く系流を、敬輔との関連で注目される画僧古礀、月岡雪鼎や曾我蕭白らの作品も含めて辿るものである。本展によって、近江出身の一絵師が中央で活躍するに到り、その後再び地方に回帰してゆく姿を浮き彫りにすると共に、関東とネットワークをもつ近江日野商人が、小泉斐や彼の交わった水戸や江戸文人サークルの育成に果した役割をも明らかにしたい。

 

構 成
  (1)京狩野派の隆盛--雪舟への憧憬
       狩野山雪、狩野永納、狩野永敬など
  (2)高田敬輔の画業--画風確立から伝播へ
       高田敬輔、月岡雪鼎、曾我蕭白、島崎雲圃など
  (3)小泉斐の画業--異才画人のネットワーク
       島崎雲圃、小泉斐、谷文晁、高久靄厓など

主 催: 栃木県立美術館、滋賀県立近代美術館
後 援: NHK宇都宮放送局エフエム栃木とちぎテレビ栃木放送、読売新聞宇都宮支局
協 賛: 株式会社TKC
協 力: 株式会社かましん
小泉斐 《唐美人図》 個人蔵 小泉斐 《鮎図》 個人蔵
高田敬輔 《香魚図》個人蔵
高田敬輔 《龍虎図》 栃木県立博物館蔵
高田敬輔 《山水図》 個人蔵
島崎雲圃 《唐美人図》個人蔵 島崎雲圃 《鮎魚遡漲水之図》 個人蔵
曾我蕭白 《月夜山水図》(六曲一双のうち右隻) 近江神宮蔵
狩野永敬 《竹林七賢図》 個人蔵
狩野山雪 《富士三保松原図》(六曲一双のうち左隻) 静岡県立美術館蔵