企画展
小山穂太郎展
Phantom

《空間・地下の道路・景 No.1》1989年 麻生秀穂氏蔵
開催期間 | 2002年8月4日[日]ー 2002年9月16日[月・祝] |
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小山穂太郎(1955−)は、一貫して映像を核とした作品を追求しています。
深煎りの静謐なプリント、バーナーによる焼き焦がし、漂白による色調の変奏、サンドペーパーによる繊細なドローイング、ニスの塗布による光沢層の付与など特異な行為を加えられた印画紙たち。巨大なフォーマットに集積され内破する光のエマルジョン。フィルムの照射に明滅する水面や蒼穹に刻み込まれた流れゆく時間の幻惑的ルフラン。投射光の屈曲による投影像のファンタズマ―。
鋭利なパースペクティブと崇高な垂直性が共生するこれらの作品は、古典芸術が築きあげた夢幻空間のイリュージョンとモダニズム美術が探究した平面の厳密性を批判継承するものであり、極薄の表層を幾重にも深化させ発出される豊饒な表象は、タブロー芸術以降に待望される新たな視覚を生み出すとともに、私たち生来の湿潤な眼差しを回復させてくれるものでもあります。
本展は、映像の化石ともいうべきオブジェを含む1980年代からの小山の代表作に加え、最新の16ミリ・フィルムワークなど約38点によって、生成必滅の溢れる画像がひとつの環境と化した今日においてもなお、確固たる質料をたたえる芳醇な映像の森をゆったりと逍遥する機会とするものです。
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《空間・療養所の窓・夕刻の景》 1989年 京都国立近代美術館 |
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《無題/赤》 1993年 石屋町ギャラリー |
《Object/as far as River/Red & Light No.3》 1992年 |
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《無題》 1987年 栃木県立美術館 |
《洞窟》 1993年 |
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《水面よりIII》 1985年 千葉市美術館 |