企画展

開館30周年記念
クールベ展 -自然と女性-

《シヨン城》1874年 クールベ美術館

開催期間 2002年4月14日[日]ー 2002年5月26日[日]

栃木県立美術館は開館30周年記念として、クールベ展を開催致します。19世紀フランスのレアリスム(写実主義)の旗手として知られるギュスターヴ・クールベ(1819-1877)は、フランス東部のルー川渓谷の町オルナンに、富裕な地主の息子として生まれました。20歳のときにパリに出て画家修業を始め、ついには歴史画や神話画が支配する19世紀中頃のフランス画壇に反旗を翻し、故郷オルナンの村人や労働者など、それまで絵に描くに値しないとされていた同時代の庶民の姿を、英雄的に大画面に描いて大きなスキャンダルを巻き起こします。こうしたクールベのレアリスムは、農民を描いたバルビゾン派にも通じるものでした。彼は晩年もパリ・コミューンに参加して罪を問われた末、スイス亡命を余儀なくされ、同地で敢えなく58歳で客死しています。

クールベというと、こうした絵画の革新者としての活動が有名ですが、その一方で、故郷のフランシュ=コンテ地方の森と動物たちや、ノルマンディー海岸など、猛々しい自然にも好んで向かい合い、風景画や狩猟画のジャンルでも大きな貢献をしています。また若い頃から多く描いた自画像や男性肖像画の他、女性像も、たくましい農婦から官能的な裸婦まで幅広く描きました。その女性観は、19世紀フランスの男性芸術家に典型的なものと言えるでしょう。

本展は、故郷オルナンの生家にあるクールベ美術館の所蔵品を中心に、フランスの各美術館からの代表作を加えて、油彩約70点、水彩・素描約30点により展観いたします。これにより、レアリスムの画家クールベの多面的な芸術の魅力が浮き彫りにされることでしょう。

《眠る糸紡ぎ女》
1853年
モンペリエ、ファーブル美術館
《白い雄牛と黄色い雌牛》
1850年
《ボードレールの肖像》
1850年頃
モンペリエ、ファーブル美術館
《罠にかかった雪の中の狐》
1860年
クールベ美術館
《夢遊病者》
1865年
ブザンソン美術館
《石割り人夫》
1865年
クールベ美術館

イベントカタログ販売ご利用案内アクセス