富嶽全図巻
Sketches of Mount Fuji
富嶽全圖巻
富狱全图卷
후지산 전도권

19世紀の初め、実際に富士山に登った画家が描いた作品
A work by an artist who actually climbed Mount Fuji at the beginning of the nineteenth century.
十九世紀初, 親自攀登了富士山的畫家所描繪的作品
十九世纪初, 亲自登上了富士山的画家所描绘的作品
19세기초 실제로 후지산에 오른 화가가 그린 작품
江戸時代には庶民の間にも富士登山が広まった。とはいえ標高3776メートルの高峰に登ることは一大事である。そこで江戸市中の富士山の見える場所には富士塚と呼ばれる小さな丘が築かれ、多くの人々はそこで疑似的な登拝を行った。
1795(寛政7)年、近江日野からの帰途、小泉斐は富士山麓で水戸藩の一行と出会い、ともに富士山頂をめざすことになった。一行は登頂に成功し、斐は登山途中に目にした光景や山頂の克明なスケッチを描いた。それを後に清書した絵巻が本作品である。絵巻中の一点一点の風景画からは、実際に登った者でなければ表現できない臨場感が伝わってくる。日本絵画史上特筆すべき作品である。