アクア・アチェトーサ

Acqua Acetosa
泉水
泉水
아쿠아 아체 토사

ウィルソン, リチャード

WILSON, Richard
理查德, 威森
理查德, 威尔逊
윌슨, 리처드

1754年頃
カンヴァス、油彩
99.1×137.2cm


18世紀イギリスの画家が描いたローマの風景

A view of Rome by an eighteenth century British artist.
十八世紀英國的畫家所描繪的羅馬風景
十八世纪英国的画家所描绘的罗马风景
18세기 영국의 화가가 그린 로마의 풍경


18世紀のイギリスで盛んに行われた「グランド・ツアー」はイギリスの文化に多くをもたらした。旅行者たちは美術品を持ち帰り、建築はじめ洗練されたヨーロッパの趣味を自国に伝えたのである。

リチャード・ウィルソンもイタリアへの旅で多くを得た。クロード・ロランやガスパール・デュゲの影響下に「グランド・マナー」の構図法を身につけ、その作風は帰国後の大成功をもたらした。また旅行者たちとの交際は富裕層のパトロンを得るきっかけともなった。

本作品に描かれるアクア・アチェトーサとはローマ近郊、テベレ川沿いにある泉の名である。鉄分を多く含む水が沸くという泉には、バロックの巨匠ベルニーニの手によって17世紀半ばに祠が設けられている。その手前では苔むした遺跡を横に、貧しい身なりの男たちがボール遊びに興じている。過ぎ去った古代ローマの栄華と貧しい現実のイタリアの対比。繁栄の頂点を極めようとしていたイギリスの旅行者たちへの教訓も込められた情景である。