森
Woods

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《森》と題されたこの作品は、ふつうの彫刻のように彫刻刀やノミで彫られたものではない。厚みのある三角形をした木の表面には、幾重にも線が刻まれているが、その形や線は材木を切るチェーンソーで刻まれたものなのだ。この痛々しく、荒々しい彫刻で、作者は何を表現しているのだろうか。
この「彫刻」を見る人は、まず《森》というタイトルから連想を誘われ、深く刻まれた線に樹木の幹や太い枝を感じるだろう。浅くかすかな線に先端の細い枝や葉が風に揺れる軌跡を感じることもできる。三角形の頂点の棘のような突起には、思わず触ってみたくなる。でも我慢してゴツゴツした感じを視覚で味わう。森とは何か。森は、人間を包み込み養ってくれる生命の源でもあり、その中に迷い込むと出口を失い、死をもたらすような荒々しい自然でもある。あなたは、「森」に入りたいだろうか、それとも抜け出したいだろうか。