1 0 ∞ のボール

1 0 ∞ Balls

丑久保健一

USHIKUBO, Kenichi

1984(昭和59)年

サイズ可変



かつて、美術評論家で有数の収集家であった久保貞次郎が、丑久保の作品を「機械文明と自然との調和を求めるゆったりした気分」と評したことがある。そのような「ゆったりした気分」は、丑久保が制作の場に選んだ、大谷の大空洞のなせるわざだったに違いない。

《1 0 ∞ のボール》というタイトルにある無限大「∞」の記号によって、なにか大きな計画が意図されたものであることがわかる。それと同時に、「108」という数字とも兼ねられ、そこに煩悩の百八つの鐘が含意されていることも読み取れよう。一つとして同じ大きさのものも、同じ形の凹みのものもない。一つ一つのボールはさまざまな場所でさまざまな人々に所有され、そしていつかまた一堂に会す日がやってくる。そんな壮大な夢のように構想された作品である。