くりー、くりー
Kuree Kuree

地平線を感じさせる色面と画面を浮遊するどこかとぼけた味のかたち。それは煙?、ビニールの袋?、アメーバ?、それともUFO?説明性やストーリーといった余分なものを一切取り払った、エアーブラシによるデリケートなグラデーション、カーブ、それによってできる小さな穴など純粋なかたちと色によるほのぼのとした作品は、ゆっくりと沸き起こってくるようなユーモアを伴います。そしておもわず笑ってしまうようなタイトルとともにわたしたちの心をくすぐるのです。
元永定正は、はじめ「具体美術協会」に参加し、ビニールに色水を入れて木の間に複数個吊るすインスタレーションや、煙を使った作品、日本画のたらし込みに似た技法による平面作品など、偶然的要素の強い作品を制作していました。しかし、1967年渡米後は、再びかたちといろを追求した作品の制作にもどりました。