那須眺望図

View from Mount Nasu
那須眺望圖
那须眺望图
나스 조망도

谷文晁

TANI, Buncho
谷 文晁
谷 文晁
타니 분쵸

1799(寛政11)年
絹本着色
47.3×71.3cm


江戸絵画の巨匠が那須からの眺めを描いた風景画

A landscape seen from Nasu by a master of Edo painting.
江戶時代的繪畫巨匠, 描繪從那須眺望的風景畫
江户时代的绘画巨匠, 描绘从那须远眺的风景画
에도시대 거장이 나스의 전망을 그린 풍경화


江戸文人画壇の大御所谷文晁による真景図の代表作である。文晁は、松平定信の白河入封に同行しており、白河と江戸の往復時などに下野の景色は何度も目にしていただろう。図の右上に書された定信の賛には「那須山南面」とあり、那須岳諸山の何処からの眺望をもとに描いていることがわかる。那須野が原の遥か先には、雪を頂いた富士山、その左に筑波山、右には上州の山々との付記があるのだが、実際の景色とは違うようだ。富士山を中心に北関東の山々を配し、作者の実景感に基づいて再構築されたものであろう。また、右手前に描かれている温泉場らしき建物と定信との間に何か関係があったことも想定できよう。日本における真景図は、あくまで文人画であり、作者の人間関係をも包括した「心景図」とも言うべきものと考えることができる。